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【真作】佐竹永海「月兎波之図」肉筆 絹本 着色 掛軸◆天保14年作 題字箱 美麗金襴三段表装 詳細画像有◆y589

【本作品について】

１．本作品は、江戸後期の画家・佐竹永海が絹本に描かれしお江戸の正月行事用縁起絵の「月兎波之図」です。
火事と喧嘩は「江戸の華」と申さるるだけに、江戸の正月行事では「波うさぎ」の江戸凧（えどだこ）をあげ競い、特に火除＝防火・防災の厄除け効果の縁起絵でありたること（掲出比較画像参照）。

２．「波うさぎ」の由来は、醍醐天皇の時代を描いた謡曲「竹生島（ちくぶしま）」を題材に江戸時代初期に流行した文様です。その物語とは；
醍醐天皇の廷臣一行が竹生島明神に参拝するために琵琶湖の湖岸まで来たものの、どうやって島まで渡ろうかと思案していた所へ、翁と海女の乗る一隻の釣り舟が通りかかり、一行は同乗を許され竹生島へ向かうことになります。 その島へ向かう舟から眺めた湖畔の景色を歌ったのが次の一節。

「緑樹影沈んで 魚木に登る気色あり 月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の島の景色や 」

【釈文】島の緑豊かな木々の影が湖畔に映り、魚たちが木を登っているように見える。 月も湖面に映り浮んで、月に住む兎も波間に映る月明かりを奔けて行くようだ なんとも不思議な島の景色よ。

・・・舟が島に到着すると、翁は竜神に、海女は弁財天に変わります。 この不思議な体験から一行は、改めて竹生島の神々の霊験あらたかなことを思い知る・・・という内容の謡曲（能）にて、中でもこの一節は特に有名です。

３．本品で注目すべきは、技量闊達な描法で美麗かつ優雅に描かれしこと。江戸風物行事の名品発掘に勤しむ筆者が発見の逸品です。

４．而して右画を描かれし文晁の盟友・佐竹永海は豪傑画師なれば奇行で有名。例えば、永海が上野覚如院の杉戸を描いた一話を紹介すると；
右寺院にて大酌満飲、爛酔して快腕を揮いしが、興に乗じて墨痕未だ乾かざるに、その上に舞い踊り所々に足跡を乱印せり。院主怒りてこれを責む。平然として桶の水を杉戸の上に覆えし補筆して遂に「雲龍図」となせりと云う。

５．本品墨書落款「永海」下に「天水」二字朱文円印を捺すので、日本書画鑑定大事典第１巻264頁所載「佐竹永海印譜集」との照合では一致しておりました（掲出比較画像参照）。
念のために落款「永海」筆跡を同事典263頁所載の「佐竹永海落款筆跡資料」と比較なれば、筆癖共に一致のこと（掲出比較画像参照）。以って真作保証致します。

６．なお落款「永海」上に「癸卯元旦試筆」と記すので、1843天保十四正月41歳の脂の乗った時期の作と知れます。「試筆」とは試しに描いたと謙虚に述べる儀礼なれば、真に受けぬこと。試し描きでこれだけの技量なれば、本格的に描けばどれだけ凄いか・・・と連想させる仕掛けであるから、以って永海本人は快心の作（傑作名品）だぞ、と述べていると受けとめしこと。まさにその通りかと。

７．さて、本表具は超が付くほどたいへんな上物です。 本紙の僅かな微シミを除けば、全く傷みの無い美麗な表装のまま大事に保存されておりました。縁起絵に良く似合う表具の雰囲気はたいそうよろしく、作品の風格に適う表装でございます。以下の仕様の通り筆者推奨の逸品作品と名表具ですので、どうぞお見知りおきください。

① 天地と両柱は、光沢の強い黄金色（こがねいろ）の 本絹糸で 織り上げた金襴地に、紅檜皮（べにひはだ）色は菱形の花菱連続紋の中に、[常磐露草] トキワツユクサ 紋を密に織り上げており（掲出比較画像参照）、絶品の裂地でございます。月光に輝くような煌めきが、元旦の縁起図柄「月に波うさぎ」に良くお似合いです。
② 中廻しは、これも明暗二色の渋茶金襴糸に露草（ツユクサ）色を織り交ぜ、菊花亀甲紋と小花格子紋が交互かつ密に織り上げられた絶妙・美麗な金襴模様でございます。
③ 一文字と風袋は、亜麻色（あまいろ）系金襴地に、本金色（ほんきんしょく）の極細平金糸で水流紋様を散らした瀟洒華麗な珍しい刺繍裂で、波うさぎに良くお似合いで輝いております。
④ 軸先はご覧の通り上質美麗な牙製にて、先端部分を見れば、上品な牙年輪が浮き出ております。
⑤ 桐箱には、「月うさぎ波之画 佐竹永海筆一幅」の題字、蓋裏に「大正四年乙卯一月改装 亘楠洞湛楽荘」と記されています。平蓋式の桐箱にて時代焼けしてございます。

８．コンデイションは、微シミ以外全く傷みが無く、時代品にしては大事に保存された形跡にて、ほぼ無傷の最優良な状態です。上品な表装立幅ですから、お披露目では（画像で見るよりも）絵に迫力が感じられ、たいそう展覧映え致します。



【略歴】
佐竹永海 さたけ-えいかい
1803－1874 江戸後期-明治時代の画家。享和3年生まれ。江戸で谷文晁(ぶんちょう)にまなび,その高弟といわれた。のち近江(おうみ)(滋賀県)彦根藩主井伊直亮(なおあき)につかえ,法眼となった。明治7年12月24日没72歳。陸奥会津出身。通称は衛司。別号に周村,愛雪。作品に「秋月野花図」など。


ぜひ掲載画像にて本作の魅力をご堪能下さいませ
（「本品付属資料」と記載のある画像が掲載されている場合は落札者様に該当画像のコピーをおつけ致します）


【内容】

肉筆 絹本 着色 掛軸
全体：197 x 50 ㎝ / 本紙：102.7ｘ37 cm


【状態】

小シミ
※くれぐれも画像にて詳細をご確認頂き
ご納得された上でご入札頂きますよう宜しくお願い申し上げます



【発送について】

ゆうパックの【送料着払便】にて送付いたします

※元払発送による過剰な送料請求を避けるため、送料は着払でお願いしています 。

※落札価格が1点で50万円（税抜）を超える場合、御礼の気持も含めまして送料を≪日本全国完全無料≫とさせて頂きます （160サイズ以下での発送に限る）。


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【真作】
本物であると断定できる作品

【模写】
・わずかでも真作ではないと疑いのある作品
・作者不明の作品
・所定の鑑定機関の無い作品
・当方で判断出来ない場合も含まれます
→上記および「真作」と明記していないものは全て模写といたします


商品タイトルや商品説明に【真作】と明記のある作品につきまして
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下記に基づき落札代金を返済の上、返品に応じます
（但し、画廊等・美術商・第三者・自称目利きの方などの非正規鑑定は保証対象外と致します）

商品タイトルや商品説明に真作とあるものについて
鑑定を行う場合は、商品落札日から5日間の間に鑑定する旨をご連絡ください
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